株式会社広島リバイン 篠 澤 萬 盛
日本の歴史上大惨事となった東日本大災害は小国であれば国家破綻につながるような被害を受けたが国民全員が一丸となって不屈の精神で復興に立ち向かっている現況に、個人に出来る最小限の気持ちとして義援金で貢献させて戴いたが、国の災害対応はまだまだ不十分であり、放射能汚染を始め今後更なる問題発生も考えられ、優先すべき課題が山積している。
しかしながら、世界の政治経済の流れの中で国民生活は恒常的に継続していかざるを得ず、特に少子・高齢化社会の現在、就業人口を持続させ、年金財源を確保するためにも、定年延長は避けられず、年金受給年齢も先へ引き延ばされた。
以前からこの人口減少問題は、予測出来たはずだが、外国人労働者の入国による人員確保や、企業の海外移転による外国の就業人員確保を含め、先の見えない労働人口環境であることには間違いない。そこで、この事態を乗り切る為にも、経験豊富な私ども六十代の役割が大きいと確信する。世界一長寿国で、科学・医療も先端を行く日本は、健康老人が多いから、身体と頭脳が若ければ、十年ぐらいの年の差あっても、自信を持って同等に仕事が出来る者が多い。これは、日本を担う政治家の大半が六十代以上の働き盛りであることでも証明されている。つまり経験に基づく豊富な知識や統率力が生かされ、高齢者でもまだまだ就業者として信頼されているからであろう。政治に限らずどんな仕事でも失敗の上に築かれた貴重な体験を生かし、更なる改善策として引き継がれるのは世の常である。
一つのビル管理に於いても、自然災害等の経験を得て、危機管理意識や、その兆候等、体験に基づく貴重な意見と最新のシステムを理解し、使いこなす技量を身につける事により、伝統となり仕事場の土台が確立されると思う。例えば強風の備えとして施錠の確立がある。以前、台風により大木を薙ぎ倒すほどの風で、少しの隙間からやがて戸が開き、扉が破壊され負傷者が出たことがある。誰もがその隙間を認めていながら施錠しようとしなかったマンネリ意識であり、危機管理意識の欠如は一見、見渡せば何処にでもある。要は捉え方一つであり、その状態を放置しておけば、最悪の場合どのように発展するかと言う推察力・洞察力は、先を読む危機対処能力として、その経験は生かされなければならない。
また、創造力の開発、応用の利く発想の転換は大切である。例えばこの度の災害で、文明から閉ざされたような生活を強いられた避難場所の生活に於いて、野外でのトイレが嫌で十日も我慢していた若者が急病人として搬送されたという報道があった。創意工夫して戦後の物不足時代をサバイバル精神で生き抜いた六十代であればトイレの仕切板ぐらい簡単に作れるはず。このように後世に残すべき役割や指導は実績として次の災害にも備えるべきで、この度の大災害でも普段の教育の大切さを痛感する。
科学や医学の進化で、もう少し寿命も延びると思われる今「還暦を迎え一からやり直し・・・」の精神で奮起したいものだ。そのためには健康な身体あってのこと、体調管理と気力の充実に日々心掛け、働ける喜びを何時までも噛みしめたい。人は健康であれば死ぬまで進歩するとも言われるように、手習いや思考能力も向上する。そしてまた、使わなければ、衰えるのが人の身体、適度な刺激を与える仕事が健康にも最良と感ずる。やがては訪れる老いを、迎え撃つ気概が大切だろう。
平安の時代から「源氏物語」でも記されているように“若者の身体に老人の知恵が欲しい”と言う謳い文句はよく理解できる。思考能力が整い安定する年頃になると、身体は衰え思うようにいかないのが人生でもある。少しでも長く現役が務まるべく技量錬磨を怠らず、後輩に引き継ぎ伝統ある勤務環境に磨き上げ、謙虚で大らかな気持ちで社会貢献したいものだ。
以上